NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアから、格安SIMを提供するMVNOへ、携帯電話番号ポータビリティー(MNP)を使って、使っていた同じ番号のままで乗り換えるというのは、もちろん可能です。
しかし、その場合に注意しなければいけないポイントが5つありますが、それを理解せずに携帯電話番号ポータビリティー(MNP)で乗り換えるというのは大変危険です。
そこで、こういった乗り換えの場合に注意すべき5つのポイントについて、今回はお話します。
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5つの注意点とは?
NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアから、格安SIMを提供するMVNOへ変える時、電話番号を変えずに乗り換えができる携帯電話番号ポータビリティー(MNP)ですが、移行のための転出手数料さえ支払えば大手キャリアから格安SIMを提供するMVNO 、格安SIMを提供するMVNOから格安SIMを提供するMVNO、というように既存の携帯電話番号を引き続き使うことができます。
しかし、この携帯電話番号ポータビリティー(MNP)をする際には以下の事態が発生する可能性について理解をしておかなければ、携帯電話番号ポータビリティー(MNP)をしたことを後悔する事になるかもしれません。
それは、以下の5つです。
- スマーフォンが使えない期間が発生する
- 現状のスマートフォンが使えなくなる
- メールアドレスが変わる
- 端末料金を分割払いにしていた場合、残債を一括で支払う必要がある
- 実店舗がない、実店舗が少ない
スマートフォンが使えない期間が発生する
携帯電話番号ポータビリティー(MNP)を行う場合、基本的に以下のような手順で行います。
- 現状利用している大手キャリアや 格安SIMを提供するMVNOに連絡をして「MNP予約番号」を取得する
- 利用する会社に「MNP予約番号」を伝えて新規申し込みを行う
- 新しい会社で契約が完了すると今の番号が利用できるようになる
このようにまずは、「MNP予約番号」を取得することから、携帯電話番号ポータビリティー(MNP)の手順がスタートします。
しかし、ここで注意が必要なのは、格安SIMを提供するMVNOによっては2の新規申し込みの手続きをした時点で今のSIMカードが使えなくなるものがある、ということです。
その場合、新しい格安SIMを提供するMVNOからSIMカードが届くまで、スマートフォンが使えない期間が出る可能性があるということです。
特に格安SIMを提供するMVNOの場合、インターネットでの申し込みから郵送でのSIMカード発送というものが多いですので、申込からSIMカード到着まで最短でも2-3日程度の期間は必要となります。
そのため、こういった事態にならないためには、自分で開通手続きを行える格安SIMを提供するMVNOを選ぶことが重要です。
自分で開通手続きを行える格安SIMを提供するMVNOとは
自分で開通手続きを行える格安SIMを提供するMVNOとは、今まで使っていた携帯キャリアから、新しい携帯キャリアへの変更を自分の好きなタイミングで行う事ができます。
この場合、格安SIMを提供するMVNOから新しいSIMカードが到着してから切り替えができるので、使えない期間がほとんど発生しません。
ただし、自分で開通手続きを行える格安SIMを提供するMVNOを選んでも、選択を間違ったり、開通手続きの曜日や時間帯によって、数十分程度は使えない時間が出る可能性があります。
例えば、OCN モバイル ONE
現状のスマートフォンが使えなくなる
格安SIMを提供するMVNOによっては、現状のスマートフォンがそのまま使えない場合があります。
基本的にNTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアで購入したスマートフォンには「SIMロック」というロックがかかっています。
これにより、NTTドコモで購入した端末はNTTドコモの通信網だけ、auで購入した端末はauの通信網だけ、SoftBankで購入した端末はSoftBankの通信網だけで使えるようになっています。
格安SIMを提供するMVNOは、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアから通信網を借りてサービスを提供しています。
このため、格安SIMを提供するMVNOに、携帯電話番号ポータビリティー(MNP)を使って乗り換える場合、現在使っている端末の通信網と同じ通信網を使っている格安SIMを提供するMVNOにしないと、そのままではスマートフォンが使えない、ということが発生します。
ポイントは同一通信網、SIMロック解除、SIMロックフリー端末
つまり、 NTTドコモで購入した端末はNTTドコモの通信網を利用してサービスを提供している格安SIMを提供するMVNOに、auで購入した端末はauの通信網を利用してサービスを提供している格安SIMを提供するMVNOに、SoftBankで購入した端末はSoftBankの通信網を利用してサービスを提供している格安SIMを提供するMVNOに乗り換えれば、現状の端末をそのまま利用できます。
また、もう一つの対応方法としては、2015年5月1日から義務化されたSIMロック解除をすれば、今使っている端末をNTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアや、格安SIMを提供するMVNOでそのまま利用することができます。
端末を既にSIMロックフリーのものを使っている場合や新たにSIMロックフリー端末を購入して使う場合、基本的にこれらの制限を気にする必要がありませんので、ASUS ZenFone 4 MaxにBic モバイル ONE(実質OCN モバイル ONE)を組み合わせてみたで実際にやっています。
このように、携帯電話番号ポータビリティー(MNP)で端末が使えなくなるかもしれない点は注意が必要です。
メールアドレスが変わる
携帯電話番号ポータビリティー(MNP)では、今まで使っていた電話番号はそのまま利用できますが、携帯キャリアが用意していた今までのメールアドレスは利用できなくなります。
NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアを利用していた場合、それぞれ以下のようなアドレスとなっています。
- ドコモ:〇〇〇〇@docomo.ne.jp
- au:〇〇〇〇@ezweb.ne.jp
- ソフトバンク:〇〇〇〇@softbank.ne.jp
これが、NTTドコモからSoftBankに携帯電話番号ポータビリティー(MNP)で写ったとすると、以下のように全く違うものに変更になります。
〇〇〇〇@docomo.ne.jp → 〇〇〇〇@softbank.ne.jp
さらに、後半の会社のドメインが変わるだけならまだしも、前半も同じアドレスが使えないケースも多々あります。
これにより、過去に連絡していた相手先に新しいメールアドレスを通知したり、登録していたECサイトなどのメールアドレスを変更する必要が発生します。
また、端末をiPhoneにしている方はApple IDを取得していると思いますが、このキャリアのメールアドレスに設定している場合にはこれも変更をしなければなりません。
これに対しては、同じメールアドレスが引き継げないために根本的な対応策はありません。
Gmailを利用する
そこで、対策としては今後も携帯電話番号ポータビリティー(MNP)でNTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアや格安SIMを提供するMVNOへ移行することを想定して、Gmailを取得して使うというのがオススメです。
Gmailは、Googleが2004年4月1日から提供している無料で使えるフリーメールサービスで、メールの保存容量は無料で15GBまで使えます。
Androidのスマートフォンを使っている場合には、初期設定時に必ずGoogleのアカウントは作成するので、簡単に利用ができますし、iPhoneを使っている場合でも、自由にメールアドレスを取得できます。
Gmailならスマートフォンに設定をするだけですので、携帯電話番号ポータビリティー(MNP)したときでも、スマートフォンが変わるだけで引き続きメールアドレスはそのまま使えます。
メールアドレスの取得自体も非常に簡単で、メールアドレス作成に必要な情報は、以下のものだけです。
- 姓、名
- ユーザー名(希望メールアドレス)
- パスワード
- 生年月日
- 性別
- 携帯番号
Google アカウントの作成の手順に沿って入力していけば、簡単にメールアドレスが取得できます。
現在はNTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアのメールアドレスを使っていて、格安SIMを提供するMVNOへ移行を想定している場合には、先にGmailアドレスを作成して、移行準備を始めるのがいいでしょう。
端末料金を分割払いにしていた場合、残債を一括で支払う必要がある
ガラケーが主流だった時代、携帯電話の端末は「ゼロ円」で販売していることが一般的でしたが、スマートフォンが主流になってくると、そういった形で販売されることはなくなりました。
そのため、iPhoneなどの高額端末の場合は特に、月々の通信量と一緒に端末の代金を支払う分割払い契約をしている人も多いと思います。
その場合、携帯電話番号ポータビリティー(MNP)を行う際には、その時点で端末料金の残債(残額)がある場合には、それを利用している格安SIMを提供するMVNOやNTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアに支払う必要があります。
一般的にスマートフォンは、24回払い(2年)で契約する事が多く、1台数万円するスマートフォンも、24回払いにすれば1回数千円程度で購入ができます。
さらにこれを、iPhoneなどの高額端末であっても、48回払いにすることで月額の支払いをさらに下げることができますので、分割払いを利用をしている方も多いと思います。
しかし、24回払いだと2年以内、48回払いだと4年以内に携帯電話番号ポータビリティー(MNP)を行うとなると、確実に端末代金の支払いが残ります。
高額端末を購入していると、端末を購入してからの期間によっては、数万円単位で残ってしまうケースもあります。
分割で支払う事は可能
この端末料金の残債については、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアの場合、基本的に引き続いて分割でも一括払いでも対応が可能です。
ただし、今までついていた月々サポートや月月割などの割引サービスが適用されない価格での支払い金額になるので、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアを継続して使っている場合よりも、月額の支払い金額は割高になってしまいます。
実店舗がない、実店舗が少ない
格安SIMを提供するMVNOはなぜ安い?で書いたように、格安SIMを提供するMVNOの多くは自社で無線通信回線を持っておらず、自社独自の端末もなく、インターネットや家電量販店で販売を行っているため、実店舗を持っていません。
最近、実店舗のmineoショップを展開するmineoや月額1000円 無料で何でもサポート はじめてにやさしいスマホ【TONE】と謳っているトーンモバイルように、実店舗での販売を行なっているところもありますが、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアのように、まだ近くにどこでも店舗があるというような状況ではありません。
この、実店舗がないということは、何か使っているスマートフォンや回線の契約で困ったときに相談する窓口がオンラインや電話サポートしかない、ということを意味します。
例えば、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアの場合には、スマートフォンが故障をしたので修理したい、料金プランやサービスについて質問したい、高額な請求が来たので利用状況を確認したい、といった場合でも色々な場所に実店舗があるので、店頭で長時間の待ち時間は必要になるにせよ、対面でのサポートが期待できます。
しかし、実店舗がない格安SIMを提供するMVNOの場合、質問は主にメールやWebサイト上のフォームといったオンラインサービスか、サポートデスクに電話に利用することになります。
ただ、メールやフォームでの質問の場合、正確に自分の状況が伝えられる事が難しく、一回で正確な回答が返ってくることも少ないので、複数回のやりとりが必要になったり、タイミングによっては回答がすぐには返ってこないこともあります。
実店舗があるところやサポートが手厚いMVNOを選択する
そのため、格安SIMを提供するMVNOに対しても、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアのような対面サポートが必要だと考える場合には、自分が住んでいる範囲に実店舗を構えている格安SIMを提供するMVNOを選ぶことが必要になります。
また、大手家電量販店の中には、店内に格安SIMを提供するMVNOのコーナーを設けており、専門知識を備えた販売員が常駐している場合もありますので、そこで取り扱っている格安SIMを提供するMVNOを選択するのもいいでしょう。
たとえば、格安SIMを提供するMVNOのインターネットショップで端末とSIMカードを購入した場合、ZenFone Max (M2)が届いたので初期設定をしてOCN モバイル ONEの開通まで行ったで行なったようにユーザー自身で端末にSIMカードを入れて、初期設定を行う必要があります。
また、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアのように、スマートフォンが故障した際の引き取り修理や、代替端末の貸し出しといったサービスを提供している格安SIMを提供するMVNOはあまりありません。
しかし近年は、ユーザーからの要望を受けて、サポートを強化するIIJmioやmineoのような格安SIMを提供するMVNOが出てきています。
はじめてスマートフォンを使うという方や、格安SIMを提供するMVNOに移行したいが不安もあるという方は、そのような少しでもサポートの充実しているIIJmioやmineoといった格安SIMを提供するMVNOを選ぶようにしましょう。
違約金については今後気にする必要はない
NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアを利用している場合、契約している料金プランや割引サービスは、2年契約になっているのが大半です。
これは俗に「2年縛り」と呼ばれるもので、2年ごとに契約更新月が設定されていて、この期間に解約や携帯電話番号ポータビリティー(MNP)をしなければ自動でさらに2年間の契約が更新されます。
NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアの2年契約の契約更新月は、24ヶ月目、25ヶ月目、26ヶ月目の3ヶ月の間だけですが、ここで解約や機種変更をしなければ違約金(契約解除料)が発生していました。
その違約金の金額は、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリア共に以下のように共通となっています。
2年契約プラン・割引サービス:9,500円(税抜)
1年契約プラン・割引サービス:3,000円(税抜)
ところが、10月1日以降については、各社共に違約金は一律1,000円となる方向です。
ドコモの「dカード」契約数は約1200万件。ポイント還元などの特典が手厚いため、同社はカード利用者については違約金をゼロにしても引き留めは可能と判断。カード利用者以外の違約金は1000円とし、2年縛りも継続する。
時事ドットコムニュース:ドコモは違約金を一部ゼロ=10月新制度、携帯3社の対応出そろう
違約金をめぐっては、KDDI(au)が1000円へ引き下げ、ソフトバンクは一律にゼロとして2年縛りも廃止した。
さらに、上の記事にあるように、NTTドコモは支払い方法によっては違約金をゼロに、SoftBankはそもそも違約金をゼロにする、としています。
そのため、契約期間による違約金については、格安SIMを提供するMVNOに携帯電話番号ポータビリティー(MNP)で乗り換えるデメリットではなくなっています。
MNPは対策をしておけば問題はない
今回、携帯電話番号ポータビリティー(MNP)を行う際の5つの注意点について述べてきましたが、事前に解決方法を理解していれば特に問題にはなりません。
携帯電話番号ポータビリティー(MNP)の手続きで特に気をつけないといけないといけないのは、どちらかというと以下の点です。
- 利用している電話番号のユーザーと申し込みユーザーが同一
- MNP予約番号の有効期限が15日しかない
- メールアドレスが変わる
この中でMNP予約番号の有効期限については、15日をすぎると自動的に使えなくなりますが、使えなくなっても再発行はできます。
ただ、MNP予約番号の発行に際して、NTTドコモやau、SoftBankといった大手キャリアのサポートセンターに電話してMNP番号を発行しようとすると、引き止めがかなり長時間に渡り行われるので、それが少し憂鬱なところはあります。
それを除けば携帯電話番号ポータビリティー(MNP)は意外に単純で簡単ですので、スマートフォンの月額料金を引き下げたいと考えている場合には、格安SIMを提供するMVNOへの携帯電話番号ポータビリティー(MNP)が一番効果が高いので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。